1月校(前受け校)を受験する意味
前受け校、すべり止め、1月校・・色々な言い方がありますが、「本命(第一志望校)受験より前に受ける学校」のことを指しています。東京や神奈川に住んでいる方は、1月に受験が行われる埼玉・千葉にある中学校を受けに行くわけです。(1月が本番の方も多いと思いますので、以下は「前受け校」と書きます)
塾との面談では「前受け校を用意することが前提」となります。自分でもそう理解していても、本番直前は本当に1日1日が貴重で無駄にできないため、「受かっても行かないだろうし、家や塾で勉強した方が良いのではないか」という思いも頭をかすめるかもしれません。
それでも、前受け校はぜひ受験して下さい。これはお子さんのためであり、親のためでもあります。今まで聞いてきた話や、我が家の経験談も踏まえてそう断言できます。
なぜ前受け校の受験が必要か
- 「受験本番」を体験することで、足りなかったものに気づくことが出来る
- 万が一の結果に備えて合格をひとつでも取っておき、「心の拠り所」を確保する
- 場数を踏むことで、親子ともに「受験対応力」が上がる
ひとつずつ、体験も含めて具体的に理由を書いてみます。
①「受験本番」を体験することで、足りなかったものに気づくことが出来る
我が家(東京在住)の場合、前受け校は埼玉の私立中学でした。いよいよ最初の学校の受験日。偏差値からすれば合格レベルだったので親としてはそれまであまり心配していなかったものの、実際は何があるか分かりません。
娘としては本当に初めての中学受験日。早起きをして日の出前の暗い中を出発し、大勢の受験生とともに様々な塾の先生方の声援や握手をくぐり抜けて受験会場へ。試験開始まではまだ1時間弱もあります。本番までよい意味の緊張が保てるのか・・。色んな意味で今までの模試とはやはり違う。
試験終了後も長い待ち時間があり、やっと会えた娘は疲れ気味の表情。緊張はあまりしなかったけど、持っていたカイロがどんどん熱くなって困った、途中の休憩時間でお菓子を少し食べたけどその後の試験時間中もお腹が空いてしまった・・などと話してくれ、ずっと集中できたとは言えない様子。持たせたものの対応や、朝ごはんと間食の量の調整が必要となりました。
そして翌日に合格発表。無事合格していることが分かり、娘と喜んだものの、教科ごとに点数開示される学校だったのでそれを見てビックリ。算数が予想よりかなり悪い!3年分の過去問をやってありましたが、こんな点数は取ったことがなかった・・・。その日の午後、塾で同中学校受験者を集めた「振り返り会」があり、そこで娘の作った再現答案によると、ミスがなんと15点分もあることが判明・・。これでよく合格できたねという状態で冷や汗(この時は国語に救われました)。他の友達も似たりよったりだったらしく、先生からは「これが受験だ、分かったか!?」と言われたそう。
こんな内容だったので、親としても反省点が色々見つかりました。娘とは「これが本番だったらアウトだったよ。今回みたいなミスをしないためには?」と改めて話をしたり、先生からの叱咤で締めて頂いたこともあり、娘の士気も更に上がりました。ここまでたった2日間でしたが、受験生として足りない部分を認識・補完していくことが出来た貴重な機会だったと言えます。
②万が一の結果に備えて合格をひとつでも取っておき、「心の拠り所」を確保する
これは様々なところで耳にする話だと思うので詳しく書きません。娘も幸いにして不合格は無かったのですが、万が一(2月受験校で、まさかの全滅の場合)のための対処として、前受け校の中から1つ「通ってもよいと親子ともに思える学校」を探しておき、そこは必ず合格する、ということを決めていました。
教育方針が第一志望校に似ていたので選んだ学校でしたが、その学校の入試問題とは相性が良く、6年の8月に初めて過去問を解いた時も合格ラインに近い点数が取れていました。直前期まで他の年の過去問を解きましたが点数は取れており、無事合格。それが多少ながらも2月の本番に向かう上での安心感につながっていたと思います。
③場数を踏むことで、親子ともに「受験対応力」が上がる
ここで対応力といっているのは、突発事項に対する対応力の意味合いです。電車遅れはその最たるもの。娘の場合、前受け校は3校受けましたが、そのうちの2校で大幅な電車遅延に出くわすこととなりました。ただ、2回目は1回目のときの経験が生きていていたので余裕で学校に着くことが出来ましたし、2月の都内受験の際も気を緩ませず早めに家を出ていました。それ以外にも場数を踏むことで分かること、慣れることの効果は大きいので、やはり1~2校は受けておいても良いかと思います。
ちなみに1校目は学校に連絡したくとも電話はなかなか繋がらず、学校のホームページもアクセス集中のせいか画面が真っ白のまま。電話がつながった際には、学校側も電車遅延について既に把握済みでだったので安心しましたが、入学願書に書かれている連絡先電話番号や緊急時のテレフォンサービス番号は受験日に持参してください。
その他
前受け校受験が大事であることを書きましたが、あまりにも遠方の学校ではなく、なんとか通える距離から選べると良いですね。娘は渋幕の受験を勧められましたが、1月下旬であっても中だるみはしないだろうと思えたこと、どう考えても遠くて通学は出来なかったこと、受験のための前泊により体調を崩し本命の2月に影響を出してくなかったこと(新型コロナが流行り始めた時でした)ので、我が家は渋幕受験はやめました。
また、あまり考えたくはないですが万が一のときは前受け校に通う可能性もあるので、出来れば(道順の確認を含めて)学校説明会に一度行くことをお勧めします。